リースバックの説明は全国どこでも同じ形で語られますが、成立するかどうかと金額は地域の条件で変わります。ただし、変わるところと変わらないところがあります。
不動産の記事はたいてい立地の話から始まりますが、この記事は少し違う順序で書きます。リースバックでは、立地の細かい条件はあまり関係ありません。
価格帯によって、話を聞いてもらえる相手が変わる
リースバックを扱う事業者は全国に複数ありますが、都市部や高額帯を中心に見ているところが多く、地方の低価格帯の築古戸建は社内の基準に乗らないことがあります。物件の良し悪しではなく、扱う金額帯が合わないという理由です。
岐阜市は人口40万規模の都市で、中心部や区画整理の済んだ地域には市場価格が1,000万円を超える戸建も相応にあります。この帯であれば、広く事業者を当たれます。
一方、市場価格1,000万円以下の築古戸建は、断られる、あるいは問い合わせても話が進まないことがあります。この帯を扱う相手は限られますので「うちでは扱えません」と言われたとしても、それは家に問題があるという意味とは限りません。
市街化区域か、市街化調整区域か
岐阜市とその周辺市町村では、市街化区域と市街化調整区域の両方が存在しています。
市街化区域では固定資産税に加えて都市計画税がかかりますが調整区域では原則としてかかりません。ですので持ち続ける場合の年間の負担が変わります。また調整区域は建築に制限があり、建て替えや用途の変更に許可が要ることがあります。
ですが、調整区域だからリースバックが成立しない、ということではありません。
引っかかるのは区域そのものより農地です。農地が絡むと売買に許可がいるため買える人も限られ、話がすんなり進まないことがあります。それでも農家の登録がある買主はいますので、絶対に無理だということではありません。
自宅が市街化区域・市街化調整区域のどちらに入るかは、市の都市計画情報で確認できます。固定資産税の納税通知書に都市計画税の記載があれば市街化区域です。
築古でも建物の固定資産税はゼロにならない
持ち続ける場合の負担として見落とされやすい点です。築年数が古くても、建物の固定資産税は下がりきりません。
土地は住宅用地の特例で課税標準が圧縮されます(200㎡以下の部分は6分の1)。一方で建物には新築時の軽減が切れたあとの圧縮がなく、経年減点補正率には下限が設けられていて、木造ではおよそ築27年で下限に達したあとは下がりません。
その結果、実勢価格ではほとんど値が付かない建物に、毎年数万円の税金を払い続ける構造になります。試算の例では、土地の税より建物の税のほうが大きくなることもあります。
「売らずに持ち続ける」を選ぶ場合、この負担は続きます。手元の納税通知書に実額が書かれているので、それを使って比べてください。
賃貸に移る場合の見通し
通常の売却をして賃貸に移る選択肢も、金額の上では有力になることがあります。ただし引っ越し先が見つかることが前提です。
岐阜市とその周辺市町村では賃貸の物件数そのものは確保しやすい地域ですが、年齢が上がるほど入居審査は通りにくくなることがあります。保証人のことや万一のときの対応を理由に、高齢の方の入居に慎重な大家は少なくありません。
金額だけで比べると通常売却が有利に見えるケースは多くありますが、その比較は、移り先が確保できて初めて意味を持ちます。
買う側は岐阜市とその周辺市町村の物件をどう見ているか
ここからは買う側の話です。私は大家として築古の戸建を買い、そのまま貸しています。
学区も、駅からの距離も見ていません
賃貸に出す物であれば、学区や駅からの距離は当然に見ます。ですがリースバックは違います。
そこに住み続けるのは、いま住んでいるご本人です。その方にとって、通勤も買い物も学校もすでに前提です。
リースバックでは、学区を調べることも、駅から何分かを測ることもしていません。区画整理などで周りの環境がよくなるならそれは利点ですが、「それがないから買えない」ということはありません。
価格が付きにくいエリアの見分け方
具体的な地名は挙げませんが、私がどう判断しているかの一つの考え方を書きます。同じことは誰にでもできると思います。
戸建の物件売買情報サイトは常に見ています。そのうえで、次のようなエリアは正直なところ買いにくいと感じます。
- 周辺エリアより極端に安い価格で売りに出ている家が多い
- 売りに出たまま、なかなか成約していない
- 不動産会社に聞くと「あのあたりは売りにくい」と言われる
- 実際に車で回ってみて、過疎の感じがある(これは主観です)
4つ目は数字になりませんが、私は重く見ています。これらに当てはまらなければ、リースバックではエリアをそれほど大きくは気にしていません。
当てはまる場合でも、買戻しや譲渡型なら話が無くなるわけではありません。諦めずに不動産会社に相談してみてください。
再建築不可は、価格に正直に出ます
調整区域ではなかったとしても、再建築不可の土地は正直なところ厳しいのです。ただし買戻しの希望が強かったり譲渡型であれば、検討の土台には乗ります。
ただ、こうした物件はリスクがある分どうしても利回りが高くなります。利回りが高いということは、同じ家賃なら売買価格が安くなりがちということになります。
売主さんには、この点をある程度は想定しておいていただくほうが、後々のショックが小さいと思います。
売り出し価格と成約価格の感覚
岐阜市とその近郊で、私が見ている金額の感覚です。
| 売り出し価格 | 成約 |
|---|---|
| 800〜900万円 | 600万円 |
| 300万円 | 240万円 |
おおよそ売り出しの7割から8割です。売り出し価格はあくまで売り手側の希望なので、そこから2割前後は下がると見ておくと、実際との差が小さくなります。
上の条件は、金額を当てはめれば自分の場合で確かめられます。売れそうな金額と住宅ローンの残りを入れるだけで、リースバックが成立するかどうかと毎月の支払いが出ます。氏名も電話番号も入力しません。
計算結果は概算です。実際の買取価格と家賃は、建物の状態と土地の条件を見ないと出ません。査定は、提携している株式会社アール(宅地建物取引業者 岐阜県知事(4)第4590号)にご相談いただけます。